【小説】社内恋愛

今時の社内恋愛をテーマにしたオムニバス小説

【社内恋愛】内村航平(25歳)の場合 vol.13

「美久さん、俺ももうダメだ…」

 

航平が自分の欲に負け、自分勝手にそう言うと、美久は呆れたように問いかける。

 

「で、彼女とはどうするの?」

 

航平は何も答えられず、自分が性欲にまみれ、亜紀も美久も傷つけていることに、情けなくなってくる。

 

「イキたいの?イかせてほしいの?」

 

美久が舌の平をアソコにあてがいながら再度しごき始めると、航平はまた美久に覆い被さり、両腕で美久の頭を抱きかかえる姿勢になる。

 

亜紀や美久に申し訳ない気持ちや、自分の情けなさを省みながらも、この場は自分の性欲が勝っていることを自覚すると、さらに情けない気持ちになる…

 

体中が力み、限界に達するタイミングで、美久は動きを止め、最後に航平のアソコに軽くキスをし、立ち上がった。

 

自分の奥底にある欲望を全て見透かされ、その欲望すら満たされなかった気持ちはぶつけどころもなく、ただただ脱力感と自分への怒り、後悔が込み上げてくる…

 

美久はソファに戻り深々と座ると、また温くなったビールを口に含み、何かを決意したかのようにうなづくと、スッとソファを立ちあがり、何も言わず寝室に消えていく…

 

航平は美久が寝室に入るのを確認すると、短パンジャージを履き戻し、冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出した。ソファには戻らず、ダイニングテーブルに腰掛けると、キンキンに冷えたビールを半分ほど一気に喉に通す。うまいとも、冷たいとも、何もわからず、ただ喉を潤し、落ち着こうと思う。

 

美久は、リビングに戻ると、濡れたラグをバスタオルで拭き、同じように濡れたスエットの上からバスタオルをあてがった。航平は美久の顔を見れずにいたが、横目で美久を気にやりながらも、視線をテレビから離せずにいた。

 

頭の中では、ぐるぐると今までの行為を思い出し、自分がどうしたいのか、美久がどうしたいと思っているか、想像しても答えのない迷路に迷い込む。自分は美久と付き合いたいのか…ただやりたいだけなのか…亜紀とはどうするのか…

 

答えの無い堂々巡りが二巡三巡すると、航平は自然と立ち上がり、缶ビールを片手にまたソファに戻り腰掛け、美久に語りかけていた…

 

「美久さんはさあ、結局どうしたかったの?俺を弄びたかっただけなの?」

 

美久は一瞬驚いた表情だったが、すぐに口元で笑みを浮かべながら、

 

「そんなことないよ。私は航平のことが好きだし、彼女にして欲しいと思っている。でも、航平には彼女がいるし、別れる気もまだないみたいだから、今日は我慢することにしたの…。でも私はホントに気持ちよかったわ、こんなの初めて…」

 

と言うと、避けるように寝室に向かった…

 

寝室の引き戸をそぉっと開け、

 

「次は最後までしたいね…おやすみ」

 

と言うと、寝室に入り、静かに戸を閉める…

 

一人残された航平が時計見ると3時半を回ったところだった。先ほどまでテレビやっていた外国映画もいつの間にか終わっており、画面には砂嵐が流れている…

 

ソファにもたれ、天井を眺めると、航平はフゥーと大きく息を吐く。そして目を瞑り、息を整えると、目を大きく開いた。

 

テレビを消し、缶ビールを飲み干すと、立ち上がり、静かに美久の部屋を後にした…


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