【小説】社内恋愛

今時の社内恋愛をテーマにしたオムニバス小説

【社内恋愛】恋愛体質の美久が男を虜にするテクニック…(夏目美久)

美久は一言でいうと恋愛体質であった。地元である函館から上京し、東京で生活するにあたってまず美久の心の中を占めたのは寂しさだった。知り合いはいない、友人はいない、そもそも誰一人として美久の存在を認識するに至らないのだ。

 

そんな美久の心の大きな隙間を埋めたのが恋であった。短大に入ったばかりの新歓コンパでは、すぐにお持ち帰りされた男と関係をもった。男に抱かれている間は、自分が求められいると、感じることができたのだ。こうして彼氏とも彼女とも言えない関係が続く。しかも不特定多数とだ…。

 

人に認めてもらうことに喜びを感じる美久は、男から求められることは全て叶えてあげたいという気持ちになる。食事代は出す。ホテル代も出す。男の好きな体位には応え、男が求めるがままに従った。男が喜ぶことが、美久自身の欲求でもあり、求められることで美久は幸せを感じることができるのだ。

 

だが、この関係は美久の意に反して、長続きしない。男の欲求を満たすために、いくら男に従い続けたとしても、男の方から美久のもとを去っていくのだ。美久が「なんでもするからお願い別れないで…」と、どんなに泣き、どんなに懇願しても、むしろ男は興ざめし逃げてゆく。

 

そして美久はいつしかからか、すぐに体の関係をもったとしても、付き合うということには固執しなくなった。付き合うというと男に逃げられてしまうという恐怖心が生まれるのだ。なので美久はまず体の関係を先にもつ。美久自身そうすれば傷つくことなく、男に求められ、幸せな気分を味わうことができる。付き合うことを先に考えると、男が身構えてしまうと、思っているのだ。

 

美久から誘えば、その誘いを断る男もいない。お酒を飲み、帰り道で腕を組み、「帰りたくない」と耳元で囁く。ホテルやいずれかの部屋に着くとすぐさま美久からキスをする。数多くの男に求められ、またその要求に応えることに喜びを感じてきた美久は、どうすれば男が喜ぶのかを知っている。

 

まるで我慢ができなかったかのように二人きりの空間になるとキスをする。懇願する表情は男の欲望に火をつけ、それに応えるように情熱的なキスをする。唇から首筋、首筋から胸元、胸元から腹部へと舌を這わせ、最後は男が求める箇所へと舌をのばす。上目づかいで男の喜びを見つめながら、その動きは激しくなり、男を絶頂まで誘う。男が絶頂に至る直前でその動きを意地悪に止めると男は泣きそうな表情になる。そうなれば、今度は男の手を取り、その手を自身の秘部にあてがい、自分がどれだけ感じているかをその濡れ具合で伝える。欲求の高まった男はもう止まらない。自分の欲望のままに、美久に貪ることになるのだ…。

 

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