【小説】社内恋愛

今時の社内恋愛をテーマにしたオムニバス小説

【社内恋愛】同期に言えない密かな妬み…(江口洋介)

江口洋介。26歳。航平と同じ人材紹介会社の横浜支店で働く営業マンだ。航平とは同期入社であるが、大学受験に一浪した為、年齢は航平の一つ上にあたる。同期入社は20名いたが、そのほとんどが渋谷にある本社での配属であり、横浜支店での配属は、航平、絵美とたった3名だったので、本社勤務の他同期と比べると、同期の仲がいい。数少ない新卒同期であったので、支店の飲み会幹事を3人で任されることも多く、自然と仲は良くなった。特に同性の航平とはプライベートで遊ぶことも多く、ここ最近は毎週末に一緒に飲みに行く間柄だ。

 

しかし、洋介には密かな悩みもあった。それは常に同期の航平と比較されること…。どこの会社でも、いつの時代でも、同期は比較されるものだが、入社して以来、初めての受注に始まり、月々の営業成績、CAからの評判、全てにおいて航平と比較されることに、洋介は厭気がさしていた。更に追い討ちをかけるように、今年から航平がリーダーとなったのには、ショックが大きい。今までは、営業成績の差にしても、ボーナスの差にしても、同じ土俵の中で程度の差を感じてはいたが、それでも努力することによって近づくことができたのだが、航平がリーダーになった時には、頑張っても追いつけない立場の差を感じたのだ。これは周囲からも一目瞭然である。「お前は航平よりも下だぞ」と会社から烙印を押されたのである。少なくとも洋介にはそう思えた…

 

洋介は、真面目にコツコツ努力するタイプだった。けして航平のように器用ではないが、クライアントに対しても、CAに対しても、一生懸命だった。真面目で一生懸命だからこそ、航平のように手の抜きどころを作らず、全てに力を入れて行う仕事は時間もかかった。残業時間も増えるし、自分でももっと効率的に仕事を進めたいという気持ちはあるが、それでもどうしようもなかった。これが洋介の性分なのである。

 

洋介とパートナーを組むと、打ち合わせが長くなったり候補者選びを必要以上に厳選するため、避けたいと思うCAも中にはいた。誰でも早く仕事を切り上げたい気持ちはあるし、自分が選んだ候補者を否定されると快くはない。ベテランCAなんかは、支店長に掛け合い、担当を変更して欲しいと申し出る輩もいる。

 

洋介はそのことを薄々わかりつつも、妥協が出来ない。むしろ、クライアントの要望よりも、CAが早く帰りたいことを理由に仕事を妥協することが、洋介にはどうしても許せなかったのだ…

 

f:id:nue0801:20170417115327j:image