【小説】社内恋愛

今時の社内恋愛をテーマにしたオムニバス小説

【社内恋愛】仕事も恋もコツがある…(内村航平)

内村航平。25歳。大手人材紹介会社横浜支店にて勤務。新卒入社し3年目の営業マンである。3年目ともなると、仕事にも慣れ、後輩もでき、自分のペースで動けるようになる。事実、航平は営業部門の一チームのリーダーとして、組織の売上責任は負わないものの、後輩の指導係を任されている。個人としての売上成績は、支店内でも常に上位に位置し、周囲からも一目置かれた存在である。

 

まあ、人材紹介会社の営業というのはけして難しくもなく、求人募集をしている会社にこまめに連絡を取り、タイミングよく求められているスキルの求職者をご紹介すれば、それだけで信頼を勝ち取ることができる。信頼ができれば、あとはこちらから連絡せずとも、求人企業側から、お声がかかるので、機会を逃さずソツなく対応しておけば、オーダーは途切れないのだ。

 

そう、この「ソツなく」というのが、航平のパーソナリティーと言える。思えば、小中と猛勉強するでもなく、塾にも通うことなく、「ソツなく」成績も上位に位置し、高校は学区NO.1の高校に進み、ストレートで一橋大学にも合格し、両親の希望を叶え、航平自身の希望でもあった上京を「ソツなく」果たした。それからも「ソツなく」勉強して、「ソツなく」遊び、「ソツなく」恋愛もし、「ソツなく」就職も決まり、「ソツなく」大学を卒業した。

 

そんな航平だからこそ、いわゆる営業の「コツ」を掴むのも早かった。なにかの才能かのように、力の入れどころ、抜きどころが、航平にはすぐにわかるのだ。

 

人材紹介会社でいい営業成績を残すには、もう一つ「コツ」がある。いくら多くの企業より求人依頼を貰っても求職者が決まらないことには、売上成績には繋がらない。実際には分業になっていて、求職者を探しあて求人募集を紹介する役割はキャリアアドバイザー(CA)と言われる担当が担っている。このCAが、適任な求職者を登録者データベースから検索し探しあてたり、求職者と対面で面接し履歴書や職務経歴書だけでは測りきれないコミュニケーション能力や人間性を見極めたり、また求職者が紹介する求人に是非とも応募したいと口説き落とすわけなので、売上の半分はこのCAの力量にかかっていると言っても過言ではない。大袈裟に言うならば、それが全てだと言ってもいいくらい重要なのだ。

 

その点でも航平はその「コツ」を心得ていた。CAの多くはキャリアカウンセリング資格を持つ女性なのだが、人選を依頼する時には丁重にお願いし、無事契約に至ると御礼を兼ねてランチで喜びを共有し、なかなか適任な求職者が決まらない時にはお酒も飲みながら一緒に対策を考え…などなど、髪型が変わればストレートに褒め、夕方には甘いお菓子を配り、たまには自身のキャリア相談をし甘え…などなど。要は、CAに気に入られ、自身のオーダーを優先的に対応して貰えることが、売上に直結することがわかっているのだ。

 

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