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【小説】社内恋愛

今時の社内恋愛をテーマにしたオムニバス小説

【社内恋愛】江口洋介(26歳)の場合 vol.6

洋介

10分ほど経ったのだろうか…美久と航平の会話が途切れ途切れに聞こえてくるが、その会話は聞き取れないものの、それ以上の行為に至らなかったことが窺い知れる。

 

洋介は、美久から発せられた喘ぎ声を反芻し、股間がはち切れんばかりに欲望を抑えきれなくなっているのに、自分でも情けなくなる…

 

我慢出来ず、自分の手を短パンの中に忍ばせたところで、美久がリビングからそっと引き戸を開け、寝室に入ってきた…

 

「次は最後までしたいね…おやすみ」

 

というと、引き戸を閉め、洋介が空けてくれたスペースにそっと忍び込んでくる…

 

憧れの美久が同じ布団で同じ一枚のタオルケットに入り、自分の胸元にいることが信じられず、洋介は動悸が激しくなるのを必死に堪える。「起きていることを気付かれてはならない」と考えれば考えるほど動悸は高鳴り、過呼吸にでもなりそうだ…

 

隣の部屋には航平もいる、しかもさっきまで美久と行為に及んでいた…そう思うとまた欲望が抑えきれず、さらに股間が膨張していくのを自覚する…

 

バタンッと玄関の扉が閉まる音がした。航平が部屋を出たのであろう。正確な時間はわからないものの始発の時間にはまだ早いことを考えると、航平がいつものように泊まらず、帰ってしまう理由が気になった。

 

「一体二人の間に何があったのか…」

 

考えても答えの出ないことに、洋介は逡巡する…

 

 美久が誘惑したが、航平が断わった?

 航平が襲ったが、美久が拒否した?

 行為に及んだが、出来なかった?

 

意味のない答え探しは、自分の期待でしかないことに気付くと、洋介は冷静さを取り戻す…

 

我に返ると、今自分が美久の部屋で二人っきりであり、しかも同じ布団でタオルケット一枚を共有し、薄目で見える美久は洋介に背を向けながらも、50cmも離れていない距離感にいるのだ…。美久の頭、耳は目の前にあり、香水だろうか、普段オフィスで美久のそれとわかる香りを感じると、一度は落ち着いた股間はまた大きく膨らみ、先ほど短パンの中に手を潜らせたせいか、短パンからはみ出してしまっていることに、焦りすら覚える…

 

その時だった…。寒かったのだろうか、美久がタオルケットを引き寄せた勢いで、巻き込まれるように、美久の背中に密着する。声は出せず、息は出来ず、目を瞑ったまま、洋介は美久を抱くように体に巻きつき、胸に触れてしまった右腕に真剣を集中させた。起きていることを気付かれぬよう、まるで木にでもなったかのように動かさずにいたが、おそらくスウェットの下には何もつけていない美久の柔らかい胸の感触は、美久の背中に密着した股間をより一層熱く、大きく、膨らませていた…

 

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